軽貨物運送業のお仕事を始めるためには、貨物軽自動車運送事業経営届出や黒ナンバーの取得など、所定の手続きが必要です。
ややこしそう、面倒臭そうに見えるかもしれませんが、実際はそこまで難しくありません。やり方さえわかれば、自分でできるので、お金を払って代行してもらう必要はないでしょう。
この記事では、軽貨物自動車運送事業経営届出書、黒ナンバーの取得方法、開業届の書き方について解説します。書類の記入方法や提出先、かかる費用や時間など一つずつていねいに説明しますので、この記事を見ればすべての手続きが自分でできるはずです!
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目次:
軽貨物運送業の開業方法
手続①:軽貨物運送業の開業
手続②:黒ナンバーの取得
手続③:開業届の提出(現時点で個人事業主でない方)
軽貨物運送業を始めるために必要なアイテム
運転免許書
車両
車庫
営業所
保険
まとめ
動画で見たい方はこちらから
軽貨物運送業の開業方法
軽貨物ドライバーとして開業してお仕事をスタートするためには、大きく分けて3つの手続きが必要です。
ステップ①:軽貨物運送業の開業
ステップ②:黒ナンバーの取得
ステップ③:開業届の提出
「ステップ③:開業届を税務署に提出する」は、現時点で個人事業主の開業届を出していない会社員の方などのみが行わなくてはならない手続きです。
一つひとつ順番に解説していきます。
手続①:軽貨物運送業の開業
軽貨物事業を始めるにあたっての情報を記載した各書類を最寄りの運輸支局に提出します。提出するのは以下の4つの書類です。
軽貨物自動車運送事業経営届出書 (2部・提出用/控え用)
運賃料金設定届出書 (2部・提出用/控え用)
事業用自動車等連絡書 (2部・提出用/控え用)
車検証 (コピーでOK)
「1. 軽貨物自動車運送事業経営届出書」には個人の認印の押印が必要です。※申請者が法人の場合は印鑑登録されている代表者印の押印が必要です。
「4. 車検証」は、用途欄が「貨物」となっている必要があります。
上記の各書類を事前にウェブサイトからダウンロード・記入して運輸局に持参すれば、当日の手続きがスムーズです。
各書類のテンプレートはこちらから
各書類の記載例はこちらから
最寄りの運輸支局はこちらから
運輸局の手続きに必要な持ち物
運輸局に直接行って書類を記入する場合は、下記の持ち物を持っていってください。
印鑑
車検証
書類に問題がなければ、その場で手続きが澄みます。かかる時間は5〜10分程度です。黒ナンバーも同じ日に取得すれば、手続きは当日中に済みます。費用はかかりません。
この4つの書類を持って、仕事を始める場所の運輸局に行き提出します。提出した書類に問題がなければ、その場で受理印が押された「事業用自動車等連絡書」を発行してもらえます。
次はこの「事業用自動車等連絡所」を持参して、黒ナンバーを発行するために軽自動車検査協会に行きましょう。軽自動車検査協会は、運輸局に併設されている場合があるので、事前に確認してみるといいでしょう。
手続②:黒ナンバーの取得
軽貨物ドライバーとして仕事を行うためには、営業用の「黒ナンバー」の取得して取り付けることが国土交通省によって義務付けられています。黄色ナンバーをつけた軽自動車は、軽貨物運送業のお仕事に使うことはできません。
黒ナンバーの取得に必要な書類は数枚で、そこまで難しいものではありません。
黒ナンバー取得の申請をする場所は軽自動車検査協会です。
黒ナンバー取得に必要な書類
黒ナンバーを取得するためには以下の書類等が必要です。
受理印が押された事業用自動車等連絡書
印鑑
住民票
運送業に使用する黄色ナンバーの軽自動車・または黄色ナンバー
ナンバープレート代(手続きする場所によって値段は異なります)
※黒ナンバーを取得するためには、黄色ナンバーを返納することが条件になります。
上記の書類を揃え、提出します。問題なければ黒ナンバーを交付されるでしょう。
黒ナンバーを交付されたことにより、これで「運送業を始められる資格」を得ることができました。
黒ナンバーは軽自動車税が安い
黒ナンバーだと、地方税である軽自動車税が黄色ナンバーよりも安くなります。
軽貨物ドライバーとして働くうえで、これからガソリン代や整備代などさまざまな出費がかかることを考えると、税金が安くなるのはありがたいですよね。
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手続き③:開業届の提出
個人事業主として生計を立てていくためには、税務署に開業届を提出しておく必要があります。事業開始後、1ヶ月以内に本人が住んでいる管轄の税務署に「開業届」を提出します。
所得税法の第299条に「事業の開始等の事実があった日から1ヶ月以内」と明記されています。
仮に、提出しなかった場合ですが、罰則があるわけではありません。
しかし、個人事業主として独立・開業し証明にもなりますし、何より一緒に提出すべき「青色申告承認申請書」を提出することで、確定申告時に「控除」という最大のメリットが得られます。
具体的な記載例はこちらから
軽貨物運送業を始めるために必要なアイテム
軽貨物ドライバーとして開業するにあたり、必要なものは書類だけではありません。運送するためには、いろいろと必要です。ここでは代表的なものに絞って解説していきます。
運転免許書
車両
車庫
営業所
保険
順番に見ていきましょう。
1. 運転免許書
軽貨物ドライバーとして仕事を行うためには、当たり前ですが「運転免許書」が必要です。しかし、多くの方が疑問に思っていることがひとつあります。それは「普通運転免許書」で良いのか? なにか特殊な資格が必要なんじゃないか? ということ。
結論を申し上げると、「普通運転免許書」さえ持っていれば、誰でも軽貨物ドライバーとして仕事を行うことができます。何か講習を受けなければいけないこともありませんし、新たに資格を取得する必要もありません。
2. 車両
軽貨物ドライバーにとって一番重要な「仕事道具」といっても過言ではない自動車。業界未経験の場合、まずどのように自動車を準備するのが良いのかもわからないと思います。
自動車をどのように準備するのか、おすすめの車種、自動車を安く購入する方法などを解説していきます。まずは自動車を準備するところから解説してきましょう。
自動車準備編
自家用車を社用車に変更する
新車を購入して社用車にする
中古車を購入して社用車にする
自動車(リース車)を借りる
主に上記であげた4つの方法が主流になります。
自家用車を社用車に変更する
この方法が一番簡単でお金もかからず準備しやすいでしょう。前提として、自家用車が軽自動車であることが条件になりますが、運輸局や軽自動車検査協会の登録が完了さえすれば仕事が開始できます。
このあと解説する「保険」の変更も必要になりますが、それ以外の手間はありませんし、税金も安くなるメリットもあります。
新車を購入して社用車にする
新車を購入して社用車のする方法ですが、筆者としてはあまりおすすめはできません。そもそも、軽貨物ドライバーを始めるメリットとして、「金銭面」が少額で始められることが魅力の一つでもあります。
資金に余裕があるなら新車を購入しても良いかと思います。しかし、そもそも「軽貨物ドライバー」という仕事が、あなた自身に合わなかったらどうでしょうか? せっかく仕事用に購入した自動車が…。
まずは仕事を経験し、「続けられそう」かつ「しっかり稼げる」ようになったときに新車の購入を検討するのが良いでしょう。
中古車を購入して社用車にする
中古車を購入して社用車にする方法が一番オーソドックスでしょう。値段はピンキリですが、タイミングが良ければお宝車に出会えることもあります。開業資金をできるだけ安く済ませたい方には、ピッタリな方法です。
また、ほぼ毎日1日中乗り続けるため、知らないうちに自動車にキズがつくこともあります。新車の場合ですと、ショックが大きいですよね? 中古車であれば「もともと中古車だし…...」とあきらめがつくのではないでしょうか。
「見た目」を気にしながら仕事するわけではなく、「稼ぐために」仕事をしているわけです。まずは、仕事に慣れること、稼ぐことに集中しましょう。
自動車(リース車)を借りる
まずは「軽貨物ドライバーを経験してみたい」という方は自動車を借りる方法もあります。いざ始めてみたものの、運送業そのものが合わないということも考えられます。そのため、自動車を借りて、金銭面の負担を最小限にすることが可能です。
業務委託先の会社に借りる
リース会社に借りる
借りる方法は上記の2つです。それぞれ見ていきましょう。
業務委託先の会社に借りる
軽貨物ドライバーとして仕事を始めるとき、最初は委託会社と契約して仕事を行うことがほとんどです。契約する会社から借りるのが一番簡単で、すぐに仕事を開始できるのですが、ほとんどの会社は自動車の持ち込みが必要な求人が多いです。
しかし、なかには業務委託先から「無料」で借りられるところもあります。軽貨物ドライバーを始めてみたいけど金銭面で断念しようとしている方は、一度調べてみることをおすすめします。
リース会社に借りる
業務委託先でも借りられない、自動車を用意する術がない場合、リース会社に借りる方法もあります。月額制で借りられるところが多く、余計な手間などもかからないところがメリットです。
自動車のメンテンナス代なども料金に含まれるため、少々値段はかかりますが、安心して仕事ができるでしょう。長い期間乗り続けるとなると、料金的に膨らみますが、その間にできるだけ多く稼ぎ、専用車を購入しても良いかもしれませんね!
※自動車を借りるうえでの注意点とは?
業務委託先・リース会社から借りるにしても、注意しなければならないことがあります。
修理費用は自分持ち
事故のときが大変
だいたい想像できる内容かと思いますが、解説していきます。
修理費用は自分持ち
定期的な点検は契約内容に入っていることが多いですが、日常的な使用しているなかで起こった不具合などは、自分で修理しなければならないでしょう。
ほぼ毎日使用するため、普段であれば全然問題ない箇所も、早く消耗していきます。仕事に支障が出ないように、自身で日々のメンテナンスを心がけましょう。
事故のときが大変
借りている自動車で事故を起こした場合、修理費は自分持ちになります。事故の程度にもよりますが、損傷がひどいほど高額な修理費がかかってしまいます。
また、仕事上でついてしまった「キズ」についても注意が必要です。日常の仕事に影響がないとしても、車体に問題が発生した場合は小さなことでも報告するようにしましょう。
そのままにしておくと、後々リース会社から強制解除をされかねません。しっかりと報告するようにしましょう。リース会社によっては任意保険を用意しているところもあるので、安心して仕事に取り組むために利用するのもおすすめです。
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軽貨物運送業におすすめの車種は?
街中を走っている運送会社の自動車を見てみると、だいたい同じ形の自動車が走っていると思いませんか? 大手運送会社の車などは、冷蔵・冷凍機能がついてる特殊な車もあります。しかし、それらを除けばほとんどの自動車が「軽バン」と呼ばれる形の軽自動車になります。
軽バンは使い勝手が良く、現在ではキャンプを楽しむ方々が軽バンを改造してキャンピングカーにするほどの人気車種となっています。普通の軽自動車よりも値段が安く、運送会社の多くが軽バンを使用する理由、それは「圧倒的な積載量」によるところが大きいでしょう。
運送業において、自動車により多くの荷物を積めることは最大のメリットになります。常に「時間との勝負」ということもあり、一回の積み込みで持ち出せる荷物の個数によって1日の売上が大きく変わるときもあります。
配属される営業所によっては、担当するエリアが営業所から離れていることもあるため、配達エリアから営業所に戻るのに20分~30分かかることもあります。そういったタイムロスを考えると、やはり一回で多くの荷物を積み込んで配達に向かいたいのです。
また、荷台に積み込むのは荷物だけではありません。重たい荷物を運ぶときや、大型マンションなどで配達するのに使用する「台車」も必要になります。とくに大型マンションの場合、マンションだけで数十個到着することは当たり前。それを一つひとつ取りに戻っていたらタイムロスです。そのために台車は絶対に必要になります。
上記の理由から、車種は絶対に軽バンがおすすめです。
自動車を安く購入する方法
初期費用はできるだけ抑えたいのが正直なところですよね。今回は「安く購入する方法」ということで、新車の説明は省略します。自動車を安く購入する方法は以下になります。
中古車ショップで購入する
オークションで落札する
知り合いから購入する
上記の方法がオーソドックスな方法になるでしょう。一つひとつ見ていきます。
中古車ショップで購入する
王道中の王道ですね。人気の車種や状態の良い自動車は早めに購入されてしまうことが多いですが、タイミングが合えば思わぬお宝車に出会えることもあります。
また、お店の店員さんと仲良くなることをおすすめします。何度かお店に伺うことで信頼関係を構築し、仲良くなっておくと自分がほしい車種が入荷したときに連絡をくれることがあります。一店舗だけでなく、何店舗にも通い、いろいろなお店から情報を貰える状況を整えておくと、理想の自動車が手に入る確率がグンと上がりますよ!
オークションで落札する
実物を見ることはできませんが、インターネットで手軽に調べることができるため利用者が多いのが特徴です。情報も毎日更新されていくため、日々新しい自動車が出品されています。
しかし、すべてを自分で処理しなければいけないため「自動車の専門知識」が必要になってきます。自分の欲しい自動車が格安で出品されており、いざ購入してみてはいいが、修理費用が高くついてしまったなど本末転倒になりかねません。
オークションで落札するなら、事前にある程度の知識を勉強してからが良いでしょう。
知り合いから購入する
知人に声をかけてみるの良いでしょう。乗っていない自動車や売ろうとしている車がある場合はチャンスです。知り合いということもあり、話やすい点はメリットですよね。業者を挟むわけではないので、やり取りがスムーズに行えます。
軽貨物ドライバーとして働くなら「自動車」は絶対に必要です。購入するにしても、借りるにしても契約内容は事前にしっかり確認しましょう。曖昧なままにしておくと、後々トラブルの原因になるので注意してください。
3. 車庫
当然ですが、仕事で使用する自動車を止めておく「車庫」が必要になります。陸運局に提出する書類にも記入しなければならない情報ですが、車庫があれば何でもよいわけではありません。以下のような決まりが存在します。
原則として営業所に併設されていること(併設できない場合、営業所から直線距離で2km以内)
事業用自動車が収容できる大きさであること
使用権原があること
都市計画法等関係法令に抵触しないこと
他の用途に使用される部分と明確に区分されていること
※出典:関東運輸局
上記を満たしていない場合、軽貨物ドライバーとして開業できない可能性があります。とくに都会で開業する場合は営業所(自宅)と駐車場の距離に注意が必要になります。
4. 営業所
個人で開業する場合、おそらく自宅が営業所になるでしょう。車庫同様、営業所にするにも決まりがあります。
休憩睡眠施設 乗務員が有効に利用することができる適切な施設であること。
※出典:関東運輸局
上記の決まりがありますが、自宅でこと足りるため、自宅で登録することが多いです。
5. 保険
運送業を始める以前に、自動車を運転するなら「保険」は絶対に入るべきでしょう。ここでは3つの保険をご紹介します。
自賠責保険
任意保険
運送保険
自賠責保険と任意保険に関しては、運転免許を持っている方なら一度は聞いたことがあるかと思います。貨物保険は運送業を行うなら必ず入った方が良い保険なので良く読んで理解しましょう。
自賠責保険
自動車を購入した際に必ず入らなければいけないのが自賠責保険です。任意保険との最大の違いは「加入義務」になります。また、自賠責保険は事故を起こした加害者に一切補償はありません。
自賠責保険は事故を起こした際の相手の身体に対して保証する保険になります。起こしてしまった事故の程度にもよりますが、だいたいは自賠責保険では補償しきれません。次にご紹介する任意保険に加入していなかった場合、すべて自己負担で賠償しなければならないことを覚えておいてください。
任意保険
「任意」となっている任意保険ですが、自動車を保有している方のほとんどが加入している保険になります。事故の程度が大きければ大きいほど、損害賠償の金額も大きくなり、自賠責保険では賠償できないためです。
補償内容は自分である程度自由に決められるため、必要だと思うものに加入することができます。主に必要な保険は以下の3つになります。
対人賠償保険 事故で相手を死傷させてしまった場合に支払われる保険
対物賠償保険 相手の自動車や家、お店などを損傷させてしまった場合に支払われる保険
車両保険 保有している自動車に損害が発生した場合に支払われる保険
ほかにもいろいろな保険があるので、自分に必要だと思った保険に加入しましょう。当たり前ですが、たくさん加入すればその分保険料も高くなります。支払える保険料を考慮して決めましょう。
【※軽貨物ドライバーの保険料事情】
軽貨物ドライバーとして保険に加入する際、一般のドライバーと比べて保険料が高くなってしまいます。理由は簡単で、「運転する距離が長くなる」ためです。
運転する距離が長くなれば、当然事故に遭う確立も上がると考えられるため、保険料が高くなってしまうのです。また、自家用車で加入していた保険の等級は引き継げません。そのため、また一からの加入扱いになることも保険料が高くなる要因です。
運送保険
一般ドライバーは決して加入することのない貨物保険。正式名称を「運送業者貨物賠償責任保険」と言います。この保険は運送業特有の保険になります。仕事中の事故や過失によって、荷物に何らかの損傷が起きた場合に所有者に対して損害賠償を補償してくれる保険です。
運ぶ荷物のなかには、数十万円の高価なものもあります。最善の注意を払っていても、予期しないところで荷物の中身が損傷してしまうことも考えられます。運送業に携わるなら、貨物保険にも加入することをおすすめします。
軽貨物ドライバーとして働く方は、上記でご紹介した保険には絶対に加入すべきです。保険だけは渋るところではありません。何か起きてからでは遅いのです。自分を守る意味でもしっかり検討し、自分に合った保険に加入しましょう。
3. まとめ
軽貨物ドライバーとして開業・独立する方法をご紹介してきました。いかがだったでしょうか? 書類の記入や自動車の用意など、少し手間がかかるかと感じられたと思いますが、実際は簡単にできてしまいます。
運送業は慢性的に人手不足の状態です。それに、がんばればがんばった分が給料として反映されるとてもやりがいのある仕事です。最初は仕事を覚えることで精一杯で時間に追われる毎日かもしれません。
しかし、慣れてくれば余裕ができ、効率良く配達ができるようになるでしょう。ぜひ、軽貨物ドライバーとしてがんばってみてください。
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